危険中毒
「早く来てくれ!
お前を連れてかないと
マズイんだよ!」

と、少年兵が叫ぶ。


腑に落ちない話だが・・・
妙に五人共、切羽詰まった
表情をしていた。

何かあったと、
直感した。

「わかった。
行くから、それを収めろ。
俺が、そんなモノを
突き付けられてると知れてみろ。
俺の部下どもに、
蜂の巣にされるぞ。」

・・・俺ごとな。

「俺は、お前達に
なびきもしねえが、
裏切りもしないよ。
急ぐんだろ?
多分、見張りも殴り飛ばして、
来たんだろ?」

急いだ方がいいんじゃねえの?
促せば、
一瞬、奴らは互いを見合わせ、
銃を下ろした。

「急ごう。」

「ゴウ、気を緩めんなよ。」
「わかってる。」

年長の男が、少年にいって、
彼は、うなづいた。


彼等が寝泊まりしている
キャンプに到着する。

徒歩20分ほどの距離を、
雨の中、歩いた体は、
すっかり冷え切っていた。
歩くというよりは、
むしろ走るといった方が
形容が近い。

「キム!キム!」

扉をあけて、すぐに、
少年が、リーダーである男を
呼びに走った。


 
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