【短編】新曲
 その男の子も、ノリがよく! 
 
 
 私に、明るく手を振り返してくれた。 
 
 
 何となく、彼に喋りかけるのはためらってしまった…。 
 
 
 「ゆきちゃん、ちょっと肩揉んでくんない?
 カチンコチンで、ヤバイんだよ!」
 
 
 「いいよぉ〜!」
 
 私の父であってもおかしくない程の年の差の夏さんの肩を揉みはじめた。 
 
 「夏さんヤバイ!
 指が入っていかない!
 マッサージ行かなきゃ脳梗塞とかなっちゃうよ!」 
 
 
 「ヤバイ?」
 
 「ありがとう気持ちいい」

 夏さんが、気持ちよさげに頭を下げ目を閉じている間。 
 
 
 私は、肩を揉みながらその男の子に視線を送った。 
 
 ただ、薄暗い店内逆光の明かりのせいもあって彼の顔が、ハッキリは見えなかった。 


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