双子フタゴ愛アイ
人がたくさん降りてきて、変な位置に立っていた私は流されそうになった



「わ、わっ」



その瞬間、タカラの手が伸びてきて私の手をつかんで引き寄せた






「ナナが迎えに来たから」


「え?」



無事電車に乗れてフーッと息をついていた私にタカラがそう言った



タカラはこっちを見ない



「ナナが迎えに来たから機嫌よかったの、オレは」



タカラはそれっきりそっぽを向いて黙ってしまった



でも手を離そうとしない



私もなんだか何も言えず、電車を降りるまで無言で手を繋いでいた
< 26 / 660 >

この作品をシェア

pagetop