あなたが私にできる事




授業の終了を知らせるチャイムが鳴り響く。



山口くんはその音が消えると静かに話しだした。




「和希とは幼稚園の時からのつき合いだった。
俺たちは性格とか全然違ったけどなぜか気が合っていつも一緒につるんでたんだ。
高校に入って久しぶりに会ったあいつに言われた。
“神崎恵梨香って知ってるか?”って。
驚いたよ。それは俺の好きな人の名前だったから。」



「え?」



私は驚いて山口くんを凝視する。



「一目惚れだった…って言ったら信じる?」




彼は困ったように笑う。



私は熱くなる顔を感じながら俯くしかなかった。





「あいつ、すげー困った顔してさ。
“恵梨香と付き合ってるんだ”って言われた時はショックだったわ。




でも俺は和希を裏切ることはできない。」




きっぱりとした口調に山口くんと和希の絆の深さを感じた。





「だからあきらめることにしたんだ。神崎さんのこと。
幸い、まだ本気で好きにはなってなかったから。」





そんな言葉が私の心を締め付ける。





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