神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
そんな顔をした透の手を引いて、彩音が楽しそうに駆け出した。


「お兄ちゃん楽しまなきゃ損だよ!早く行こう。」


「あぁ…分かったよ…。」


透は諦めを着けると、手を引かれるままに歩き出した。


月読は耳をピコピコ動かして、辺りに漂う美味しそうな匂いにワクワクした様子でキョロキョロしている。


「月姉、何か食べたい物があったら言ってね。人混みが多いから、はぐれて流されないようについてきてね?」


「おお、わかった。ワシもこんな大きな祭りは初めてだ!美味そうな香りがするなぁ。」


そう言いながら早速フラフラと動き出した。


「ああん、もう!今言ったばかりなのに。」


そう言って忍は、カランカランと下駄で小走りに追いかけた。
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