神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
一方その頃、白蓮は屋敷で手紙を読んでいた。

一通り目を通した後、白蓮は顔を上げて手紙を閉じた。


「…彼に会うのは久しぶりじゃのぅ。今日明日中には来るはずじゃが…。」


白蓮が思い浮かべた手紙の主は、神に愛された男として退魔士達の間では知らない者が居ない程の有名人だった。

しかし退魔士ではなく、決して白蓮達の援軍に来るわけでもない。単なる人探しの捜索だった。


「それにしても今日は天気が微妙じゃのう。今にも泣き出しそうじゃ。」

窓辺に立って空を見上げると、いつの間にか月が隠れてしまう程の雲が出ていた。


「何か胸騒ぎがする…何も無ければよいが…。」
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