神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
「はい、心優しい方ですよ。とても妖とは思えないほどの徳の高さに僕も頭が上がりません。」


「ほほほ、それはそうじゃろう。幸福を呼び込む神の化身じゃからのぅ。」


幹矢と白蓮は楽しそうに談笑していたが、ふと思い出したように幹矢が語り始めた。


「所で…ちょっとここに来る間に不穏な情報を掴みまして。
ここ最近、各地に妖が増えてきてるとか…。普段出雲から出歩かない僕の情報ですから信憑性はないですけどね?」


幹矢の言葉に白蓮は表情を曇らせ、そして悔しそうな話し方で答えた。


「話は聞いておる、やはり確かなようじゃのぅ…。各地に派遣したいのは山々じゃが、今は手が放せないのじゃ。」


「良かったら聞かせてもらえませんか?力になりますよ。」


日本に残る退魔士の長が困っている。幹矢にはそれだけで十分な理由だった。
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