神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
第一章 神楽 透
【時は経つこと20年…現在の透。】

透がとある事件により遠野の山を下りたのは約5年前、現在は京都に辿り着いていた。
その件については後に語られるが、すでに彼は成人を迎え、すっかり大人になっていた。

細身だが引き締まった体、背は175と、割と高い方だった。
髪は短く黒髪、ジーパンに黒の皮ジャンを好んで着ていた。

透がいる場所は、今は使われていない廃ビルの一室、元は事務所であったのだろう、机やソファーがそのまま残されていた。

遠野の山を下りて、当てもなく彷徨っていた時に偶然見つけて以来、すっかり居座ってしまった。

透は机の上に足を投げ出し、外の景色を眺めていた。

風に揺れる木々を見ていると、今は懐かしい遠野の里を思い出してきた。
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