神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
「じゃあ龍脈ってのを断てばいいんじゃねーか?」

透がさらりと言ったセリフに沙綺は驚いて否定した。


「バカそんなことしてみろ、日本の自然界のバランスが崩れて地震や噴火が各地で起きるんだぞ」


沙綺はそこまで言うと、一度冷静になるために深呼吸をして続けた。


「龍脈が在るところは妖がよく出る。
だから人間に被害が出ないようにするため、俺達の仲間がそれぞれの場所に住み着いているんだ。」


それを聞いて透は、何故このような街を選んで白蓮が自分を住まわせたのかが分かった気がした。


それにしても結界を抜けていった妖が、強敵であると言った沙綺に対して、自分達2人でかなうものか疑問だった…。


「沙綺、今の妖はやっぱりこの近くに居続けることに変わりはないのか?」

沙綺は真っ直ぐ透の目を見て頷き返した。


「ああ、奴らに何かの目的がない限りは移動しないだろうぜ。」



「2人でいけると思うか?俺には今の奴の力量がよくわからないが、鵺達なら知ってる…手強いぞ?」
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