神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
第六章 二人の召喚士
翌朝


昨日はマンションに帰って一息つくと、沙綺は宣言した通り御館様の所へ行ったようだ。
おそらく報告を兼ねてのことだろう、時間も遅かったので、屋敷に泊まったのか、マンションに帰って来てはいなかった。

透は午前中一杯を私物品の購入や、身の回りの片づけに費やした。
金は遠野の里を出るときに、かき集めてきたので余裕はあった。
元は仲間の物だが、全員亡くなってしまったので、透は罪悪感を感じながらも背に腹は代えられなかったのだ。



午後になってようやく沙綺が部屋に顔を出した。


コンコン…ガチャ


「神楽入るぜ?お、生活環境だいぶ整ったみてーだな。」


沙綺は部屋の中を見渡して、一言目にそう言った。


「まぁな、形だけのシンプルなものだがな。」


「そぅか?男の部屋なんてこんなもんだろ。」


「そうなのか?まぁ、部屋はいいとして、昨日の件どうだった?白蓮様は何と?」


透はいらなくなった段ボール箱をたたんで縛りながら沙綺に問いかけた。
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