この空の彼方
「灯世!」



ぶつかりそうになった人影に声を上げる。



息を切らせた灯世だった。



「さっきのは?」



爪鷹が急き込んで尋ねる。



灯世は眉を八の字にした。



「氏神様だそうです。」



氏神?



4人は首を傾げた。



「妖の類ではないのか?」


「まがまがしくはなかったでしょう?」



芦多は考えて、頷いた。



確かに。



邪気は交ざっていたが。



「で、氏神は何でお目覚めやがった?」



千歳が辺りを見渡しながら舌打ちする。



芦多も油断なく辺りを窺った。



「それは…。」



灯世が口籠もる。



言いにくいよな。



芦多が変わって答えた。



「私と灯世が一緒にいると氏神様が怒られると占で出た。」



千歳はそれか、と顔をしかめ、残りの二人は何だそれと首を傾げた。



「初耳だな。」


「非公式に行われた占だからな。」



耶粗は何でだ、と芦多に問う。



「なーんで芦多と灯世が一緒にいちゃいけないわけ?」



それは…。



芦多は灯世を窺った。



型の話をしていいんだろうか。



千歳をみると、力強く頷いた。



芦多は深呼吸をして言った。



「それは、私が型で灯世が鍵だからだ。」



言ってから急いで、灯世に耳打ちする。



「型のことは追々説明する。」



芦多を見上げた灯世は何か言いたげに口を開きかけたが、黙って頷いた。



「そんだけ?」


「運命が交差しているんだと。」



千歳も口を添える。




爪鷹が頭を掻いた。



「ねぇ、芦多。
そんな占、真に受けてんの?」



え?



「だって、八重様がなさった占だし…。」


「外れることもあるでしょ。」



だよな、と耶粗も頷く。



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