あなたの隣




行き先も告げずに黙々と歩いてく依介おじさん。


今はこの沈黙が心地いいのであたしもなにも言わなかった。






「昔はおぶってやるていったら跳びはねて喜んだのにな。」

今だって、今のほうが嬉しいよ。

「お前も恥じらうような歳になったか…。」


「突然お父さんみたいなこと言わないでよ。」

「俺は子守役だろ?(笑)父親とたいしてかわらねぇーだろーが、」

むっ


「子供じゃないもん」

ばしっと肩を叩くが

「はいはい、ついたぞお子様。」

と軽く流されてしまう。

どうしたってこの歳の差は埋まらないのだ。

すとっと降ろされたその先を見るとザーっと音を立てる川が広がっていた。


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