あなたの隣




ちょっ!なになになになに!?

突然びしょ濡れになった紺色のシャツのボタンをはずし始めたおじさんに心臓が跳ね上がる。

水も滴るいい男ってこういうことをいうんだね…。

女のあたしから見ても、首筋とか、鎖骨とかに水が伝っている依介おじさんは色っぽくて、思わず見とれそうになるのをおさえてそっぽをむいた。



ぎゅっと後ろでシャツをしぼる音がする。

いま、おじさん、上着てないのかな…って何考えてるの。

「詩桜。」

「はいぃぃぃい!!!!」

「?これ着とけ。あ、待て。着てからこっち向けよ。あと、ちゃんとボタンはかえ。」

背にばさっとかけられたシャツにどきどきしながら腕をとおす。

大きいな、とか、思っちゃって、おじさんに包まれてるみたいなかんじで無性にうれしくなる。

なんだかんだいっておじさんは優しいなぁと着込んだシャツをぎゅっとかき抱いた。

でも夏だし、風邪なんてそうそうひかない気もするけど、せっかくの好意には甘えるべきかな?

というか、おじさんはどうするの?!

どぎまぎした気持ちで後ろをふりむくと、黒のタンクトップ一枚のおじさん。


かっこよすぎる!!!!これはいけないよ!反則だよ!犯罪がおきるよ!


ぐっと黙りこんだあたしにやっぱり不思議そうな目を向けるけど今は気にする余裕なんて、


これっぽっちもなかった。

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