万象のいた森
1
 
ユキは13歳。

この春、この街に越してきた。
回りを山に囲まれた小さな街。

その街に一軒だけというコンビニの中。

ユキはひとりだった。

ふと見ると、小学5、6年生だろうか、男の子が手に取った商品を上着の中へ忍ばせた。

レジの様子をうかがうと、店員も男の子の行動に気付いたようだ。

男の子と店員の様子をユキは激しく目で追う。
男の子はレジを避けるようにユキの傍らを通り過ぎる。
店員も男の子を確保できるようにカウンターの外へと動いた。

ユキはもういてもたってもいられなかった。
気付くと男の子の腕を取っていた。

そのまま、有無を言わさず男の子をレジの前まで引っ張っていき、上着の中からその商品を出させると、ユキが代金を支払った。
 

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