月と太陽の恋愛関係~Ⅱ~
すれ違いと勘違い 孤独と愛しさ



何でだろう?

嫌な予感がする…



俺は何時ものように喫茶店“ひだまり”に向かう。

今ではマスターもちなつちゃんも家族みたいなモノだ。


一人ぼっちの俺を大切に、暖かく包んでくれる。


ありがとう、なんて言葉じゃ足りない位に感謝している。



ひだまり、がなければ俺は今生きていない。

きっとそう断言できる。



それ程までここの存在は俺にとって大きなものだった。



カランコロンと何時ものように軽やかな音。


「おかえりー、夜月ちゃん。」

「お帰りなさい、夜月ねぇ」


ニコニコと微笑む二人。


「ただいま」



この言葉を言える日が来るなんて…、去年の今頃の俺には想像も出来なかっただろう。


「ありがとう」

俺は何だか嬉しくなって、そう言った。


そんな俺を不思議そうに見る二人。

「どうしたんだい?」

「何でもないよ~」


マスターの問いかけに笑顔で答える。


勿論、答えは教えないけど。


「えぇー、気になるよぉ、夜月ねぇー。

ちぃにだけ内緒で教えてぇ」


ふわふわと笑うちなつちゃん。

その笑顔についついこぼしてしまいそうになる。


「駄目、教えないー」

「ケチぃー」



二人を見ていたら、いつの間にか忘れていた不安。

きっと大丈夫、なんて思っている。


実際は大丈夫じゃないのに…

< 19 / 36 >

この作品をシェア

pagetop