戦乙女と100の物語

ビーテ…
ビーテ、ビーテ…



うーん。
思い出せない…





バタバタバタ…





洞窟の中はよく響くせいか、足音がよく聞こえる。




ユウリ、大丈夫かな…




『おい』




……。




『あたしは‘おい’じゃないっ』




すると、ギルガードは奥の方を指差した。




『あっ…』




少しだけだけど、眩しい光が差し込んでいた。




出口だー…




あたしは、久しぶりの太陽の光に目を細める。




『行こう!』




やっと出られるんだ…



やっと。




やっと…






『えっ?…』




ギルガードが動かない。



なんで…?





『ギルガー…』



『俺がここから出れば…勇汰を助ける手がかりが無くなってしまう…』




ユウタ…?




『その人が、ギルガードのパートナー…なの?』



ギルガードは頷いた。




『俺は助けないといけない。あいつらから…』




あっ…

確か、フードの男もさっき言ってた…



あのお方も、お前の大事な友を返してくれるかもしれない、と。



あのお方って誰なの…?


…なんか、怪しい








『あたしと旅、しようよ』




『…は?』




ギルガードは目を真ん丸にしている。




『だから、旅しようって言ってんじゃない。
そんな怪しい奴等と居たって、もて遊ばれるだけよ!』




あたしの声が反響した。



しまった!
つい…




奥の方で、あっちだ!行け!という声がした。




本当に見つかっちゃった…





『ごめん、ギルガードっ。早く逃げ…』






ギルガードは笑っていた。





『…いいぜ、旅。お前についていく』






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