時の雫 白銀の瞳

―――――衝撃的だった。

俺は、信頼されていない。

そうなのかもしれないが現実に変わった瞬間で、言葉が出てこなかった。


―ズキンッ

鈍い痛みが頭部に走る。

思わず頭を抱え、その場に立ち止まると、僅かに聞こえる幻聴を払い去るようにして壁を殴り付けた。


――カミア、それではダメ…。力で抑えつけるだけじゃ、いつか貴方は苦しむ事になってしまうわ…。

ズキンッ――

『やめてくれっ…』

小さな嗚咽を漏らし、座り込む。

頭の痛みは更に増していき、震える体と荒くなる呼吸で苦しみが精神をも支配していく。


先程の娘の声と、幻聴が頭の中をぐるぐると回り始め、正気を失い始めた瞬間、背後に気配を感じて咄嗟に身構えた。

『……シド……。』

『カミア様、大丈夫ですか?』

唯一信頼のおける側近の姿に安堵すしたのもつかの間……


支配していた苦しみが絶頂に達し、暗闇へと引きずりこまれ、その場へ崩れ落ちると一気に意識を失った―――。
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