神様のきまぐれ
「大バカ!!日向、オマエね。
そうやって、音以外の事に
無頓着だから、
女と続かねーんだよ。
嫁には、逃げられるし。」

「うるせーっ
離婚は、十年以上も
前の話だろっ?!

売れてた時と
同じギャラが入るわけないのに
求める方がオカシイっつうの。」

もちろん、
原因はそれだけじゃ
ないけど。


それは、単なる
引き金だったに過ぎない。


「何してんだろな。元ヨメ。」

元田が、
船の甲板を歩きながら
言った。

「知らない。
連絡もとってないし。

適当にやってるだろ。
凄いスピード感のある奴
だったから。」


幸か不幸か
子供がいなかったから、
俺達は、結婚同様、
自分達の意志のみで
事をすすめた。

互いに、キズは
浅かっただろうが、
それでも、
随分パワーが必要だった事を
覚えている。

船内は、出港の時間になっても
自分達二人しか乗客がいなくて

こんな、
日頃外で話せないような
会話もできる状況だった。



しかし、このまま、
のんびりとは、
いけないらしい。


出港直前、
二十歳そこそこの男が
かけこんできた。

どれほど走ったのか、
息があがったままだった。






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