3人の き も ち
人だかりの理由が、判った。
フル、でずっぱりだよ、あの子。
そう中林先輩が教えてくれた。
体の小ささを補う あの速さ、的確なシュート、驚くべき体力。
あのえっくんと対等に試合している。
でも流石に疲れが出てきているみたいで、時々、チームメイトに腕を軽く支えられたり……
「ちょっと、早苗?」
「えっ?」
気が付けば弥生の服の裾を握ってしまっていて、慌てて手を放す。
恥ずかしくって俯いてしまう。
あんたはどっちの味方よ。
呆れ顔の弥生に小突かれたけど、視線は、彼を追ってしまう。