%私vs国連%

「ちっ!面倒な」


その地図は、私の体の2倍以上もある大きさで、

はずすのには、かなりの体力を消耗する。


おまけに、つんとする匂いが鼻をつき、

私は、思わず顔をしかめた。

地図を持ち去られないための防衛工作に違いない。


しかし、どんな苦難があろうとも、私はこの任務を果たさねばならないのだ。

この、最重要任務を。


焦れば焦るほど、うまく動かない自分の親指がもどかしい。

時間のないときに限って、失敗をしてしまうのは仕方のないことなのか。

普段は器用な私の指がぶるぶると震え、勢いでチャックが布に食い込んでしまった。


くそっ!

天は、我を見放したのか。


必死でチャックを動かそうと力を入れるが、余計に食い込んで、

無常にも、まるで動く気配をみせない。


私の額を、一筋の汗が流れた。


その時。






< 2 / 17 >

この作品をシェア

pagetop