咲いても、枯れても1~サクラ色~

特別な存在




『恵ちゃん、白純美ちゃん!!』


私たちが校門の前で待っていると、佐々木くんたちが走って来た。


そばには、この学校で一番大きな桜の木がある。

思い出す、彼を。



『じゃあ、帰ろっか』

『うんっ』



佐々木くんと恵はもう良い感じだった。

おしゃべりな恵、聞き上手な佐々木くん、気が合うのかもしれない。



『白純美ちゃん』



佐々木くんと恵の後ろを、高橋くんと藤井くんと私で歩いている。

突然、高橋くんが話しかけてきた。


といっても私がぼっとしてたから、びっくりしただけかもしれない。



『な、何?』

『いや、白純美って呼んでもいい?』


高橋くんは私の顔を見て、にっこりと笑った。



呼び捨て、ってこと?

私にとって名前は特別。

だけど、「ちゃん」とか「さん」を付けて呼ばれるのと、呼び捨てだったら、特別感に差はない。
< 19 / 279 >

この作品をシェア

pagetop