醒め逝くY
現実のY、夢のY
それから一週間後に貢は亡くなった。
普段会うわけではなかったので
彼がこの世に存在しなくなっても
私の人生は何も変わらない。
たった二回、見舞いと通夜で
無言の貢に会っただけの事だ。
私は通夜で貢の奥さんの様子に
心を討たれた。
彼女は絶えず、何一つ言葉にはならない声を
発している自分の娘を、抱きかかえる
ようにして親族の席に座らせ、気丈な態度で
弔問客に挨拶をしていた。