醒め逝くY
大希が食事代を払っている間、私は
その食堂の店先に開いている土産物屋で
動物を模った水晶の置物を手にして
眺めていた。
すると会計を終えた大希が私の側へ来て
「気に入ったの?」
と微笑みながら尋ねて来た。
私が照れながら
「うん、何となく…・・・」
と言うと、彼はその置物を二つ手に取り
店の人に渡してお金を払った。
そして一つを私に渡し、もう一つを
自分の服のポケットにしまいながら
「嫁さんにも何か買っていかないと、
色々うるさいからさ」
と言った。