彼の隣りに寝る女
次の日の夕方、仕事中の内くんから電話が鳴った。

もうすぐ休憩時間なのにどうしたんだろう?

そう思って電話に出るとすごく慌てた様子だった。

「ひな、今どこ?家にいるなら鍵閉めて!チェーンもして絶対ドア開けるなよ!」

なんで?何を慌ててるの?ケイちゃんと何かあった?

そんな不安を抱きつつ外を見るとケイちゃんがこちらに向かって歩いてきてた。

「内くん!?ケイちゃんがアパートに向かってきてるけど」

「早くチェーンかけて。絶対ドア開けるな。休憩になったらすぐ戻るから。ごめんまたあとでかける」

それだけで言って電話は切れた。彼女はすぐドア前まで来ていて、

私の名前を叫びながらドアを叩いていた。

彼女はドアを壊すように蹴飛ばし

「いるんだろ!居留守使ってないで出てこいよ!」

そう言ったかと思うと、なぜか鍵が開いた!

「てめぇ!チェーンなんかかけやがって」

隙間から手を伸ばしチェーンをはずそうとしている。

私は怖くて、その隙間から見えない位置に隠れ内くんに電話をした。

「なんで彼女が鍵もってるの?早く帰ってきて!このままじゃドア壊されて中入ってくるよ。彼女の叫び声聞こえるでしょ?」

彼女は、私に「卑怯者。ぶっ殺す」など叫び続けドアをガチャガチャ開け閉めしていた。

「わかった。すぐ戻る」

内くんはコック姿のまま戻ってきて、彼女とドア前でもめていた。

「てめぇ、内呼びやがって。私はあんたに話があるんだよ!出てこいよ!出てこないと内殺すぞ!」

そうわめく彼女を内くんは押さえ連れ戻そうとし、私は家にいないと彼女を説得していた。

「じゃ、なんでチェーンがかかってるんだよ!」

すると今度は内くんが私に出てくるなと叫んでいた。

「出てこないと内を殺すぞ!好きなら出てこい!」

彼女の声は近隣中に響きわたった。

なかなか収まらないのを見切って私はドアを開けた。

私を守ろうとする内くんを見て、ショックを受けた彼女はその場で泣きくずれた。

内くんは彼女の妹に電話をし、彼女は迎えにきた妹に連れられ帰って行った。

2人がどんな話合いをして納得したのかは知らない。

その後、私の携帯にケイちゃんから着信があったがとることはなかった。
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