キミのヤキモチ
「悪趣味!」
ユウから離れた窓際、オレと詩織は隣同士の席で
ニヤニヤ笑うオレを見ながら、詩織はブスッとしたままひと声かけてくる。
オレはユウとも仲のいい詩織に頼んで、オレと付き合うことになった振りをしてもらっていた。
理由はさっきも言ったとおりで
ユウがその話に驚いて、ちょっとヤキモチなんか見せてくれたらって…
「だってさ、見た?あの困った顔、不安そうな目。オレその場で抱きしめちゃいそうでヤバかった〜。超可愛い!」
「じゃあ私にまで演技させないで普通に付き合えばいいじゃん。亮の場合ほとんど変態の域だと思うけど」
「あのなぁ。お前もそこら辺わかってるでしょ。オレはこの感じがたまらないの。近づける存在だからこそあえて遠ざけてみる、みたいな?あいつの反応はオレの栄養分だし」
「だからそれが変態なんだって/汗」
なんていうか
お互いの気持ちをわかっていながら、それを告げない心地よさってあると思うんだ。
オレとユウは、今まさにそんな関係で。
好きだけど、何も言わないまま友達としての仲を続けてる。
「半分いぢめてるみたいだよ」
「半分どころか、もっとやりたい気分です!」
このままでも構わないから、ユウにはずっとオレを追いかけていてほしかった。
オレが振り返って手を広げれば、いつでも飛び込んできてくれるっていう、自信の元で。