擬態
「きゃっ…! マカ、いきなり何を…」

「何を、じゃないっ! 何ではこっちのセリフだ! 何故静かにマノンを眠らせてやらなかった!」

カノンの肩を掴み、マサキに渡した。

「マノンは人間だっ! 生き死にを勝手に操ってはいけないんだっ! 何故禁忌に触れたんだっ!」

「そんなに責めちゃ、かわいそうだよ。姉さん」

この場でも平然としているのは、マノンだけだった。

マカは弟を睨みつけた。

「マノンっ…! この世によみがえりたかったという気持ちは分かる。だが分かってくれ。お前はこの世にいちゃいけないんだ」

「マカっ! あなた何てことをっ」

「誰のせいでこんな言葉を言ってるんだと思うんだっ!」

マカの鬼気迫った表情に、カノンは黙った。
< 28 / 45 >

この作品をシェア

pagetop