六花伝
…その言葉の先を美都が口にすることはかなわなかった。
騒ぎを聞き付けた家人が室に荒々しく踏み込み、美都の腕を握りしめると強引に退室させたのだった。
止めようとしたのも空しく、美都は屋敷の奥へと連れていかれ、後には衣が乱れた沙希のみが残されたのであった。
それから後、二人が二度と会うことはなかった。
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