甘い蜜



十分だった、はずなのに。


「大和ぉお~」

「うっ」


物思いに耽っていたせいで、周囲の気配を感じていなかった俺は突然情けない声と背中に重りが落ちてきて呻く。


おも……誰だよ……


俺は、首を捻って誰かを確認する。


「…………重い、由」

「うぅ~聞いてくれよ」

「聞いてほしかったら、どけ」


全体重かけてんじゃねえか、てくらいに重い。由は、渋々俺から離れる。


俺は、とりあえず体を起こして軽く伸びをする。それから、頬杖をついて、落ち込んで床に座り込んでいる由に目を向ける。


「で?どうしたんだよ」

「………れた」

「はぁ?」


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