甘い蜜



この高さは風邪だと断定出来ない。
もしかしたらインフルエンザかもしれない。今は季節関係ないらしいし。


「……病院行くか」


素人が勝手するより医者の支持を仰いだ方が早く楽になるだろう。


最寄りの病院に連絡しようと立ち上がろうとした俺の服を麻理亜が引っ張る。くんっと引っ張られてそちらに軽く体が傾く。


「麻理亜?」

「………病院、いや……」


顔を真っ赤にさせて麻理亜は言う。さっきより赤くなってるから熱はまだあがっているかもしれない。


俺は先程の位置に戻ると、麻理亜の額に汗で張り付いた前髪を払ってやって頭を撫でた。


「嫌、でも辛いだろ?」

「寝てれば……大丈、夫」

「………」

「動きたく、ないの」



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