甘い蜜



買い物にでも行ったのか?


家に誰もいないのを少しだけ寂しく思う。前はマンションだったからそうは思わなかったが、一軒家になると寂しく感じる。


リビングにいるか……、と向きを変える
タンタンとリズムよく階段を降りる。
カチャっとリビングに通じる扉を開けて、俺は、目を見開いた。


リビングの先、庭へと出られる大きな窓。そこに見えた見慣れた背中口許が緩む。


「―――麻理亜」


そっと名前を呼ぶが反応はない。
近づいてみると、首をカクン、カクンとさせている。横に回って腰を屈めて見てみると、気持ち良さそうに眠る姿。
そして視線を下げると、座る麻理亜の膝を枕にするように眠る愛しい我が子の姿があった。


まだ産まれて二年。
小さくて可愛い我が子。
自分にもこんな時代があったのかと信じられない。


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