甘い蜜
撫でている俺の手に自分の手を重ねて、麻理亜は自分からすり寄る。
そんな麻理亜が可愛くて、一生離せないな、と改めて思った。
さっきの電話。父親からの電話。
大方内容は分かっている。
俺もそろそろ動こうかと思っていた所だった。
「………麻理亜」
「?」
「今日はちょっと用があってな、一人でも大丈夫か?」
「用事……?」
「あぁ」
「帰ってくるの、遅い?」
不安げに麻理亜は眉を垂らす。
麻理亜は意外と寂しがり屋だ。