甘い蜜
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「社長、お連れしました」
「やっときたか」
社長席に堂々と座り、煙草を吹かしていた親父は、眉間に皺を寄せたまま俺を見る。
相変わらず、人を見下しているような目をしているな、と思う。
この会社は、外資系の会社だ。そのトップに立つ男は人を駒としか考えていない。
そんな会社は果たして生き残ることが出来るのだろうか。
「………呼んだ理由は何ですか」
「お前、いつまで教師なんぞしているつもりだ」
ギロリと睨まれるが怖くない。後ろで葛城の息を飲む音が微かに聞こえた。