チキン彼氏を救出せよ!!


「先生ー、北野じゃなくて南野でーす。」


わたあめはまたキャハッと楽しそうに言った。


どんだけいじられたいんだわたあめ。

てゆーか懲りないなわたあめ。


「あ、そーだ南野だ!!
悪いなぁ。
ありがとう綿縞愛夢!!」


「えぇえー!?」

思わずあたしは声に出して驚いてしまった。


しかしわたあめはまさかのフルネームを言われて完全に自分はいじられないことを悟ったようだ。


「そっかぁ…
先生には、あたしはいじりようのないノーマル女に見えちゃうのね…。」


パッと見は普通の女子だよ残念ながら。

てかわたあめ、

自分がMなこと、自覚してたんだ。


「だ…大丈夫?だよ。」


あまりの落胆ぷりにあたしは曖昧だが慰めておいた。


すると…


「あ、そうだ!!
分かりやすくすればいいんだ!!
ありがとう莉子!!」


わたあめはなにかひらめいたらしく目をキラキラさせながら言った。


ん…うん?

待て待て待て
なんでいきなり呼び捨て!?

しかも今なんで紙に『いじってください』とかデカデカ書いてんの!?


「出来たー!!
莉子、これ背中に貼って!!」


は…貼るの!?
こんな紙あたし貼りたくないわ!!


と思いつつも優しいあたしはわたあめの背中に貼ってあげた。


「ありがとう!!」


そう言って笑顔を取り戻したわたあめであったが、


斜め後ろの席だからどうしてもその文字が目にはいっとしまうあたしは、


笑顔を失った。




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