繋がれた天使〜Siori and Mitsuki〜


ホテルの部屋の窓からは、
川と川向かいの夜景が見えた。


こんな夜はサディスティックな気分には程遠くて、俺は出来るだけ丁寧に栞を抱いた。



栞はどこに触れても、
泣きそうな声を洩らして。


「…栞?

 栞はどこが沢山感じるの?」

と聞くと



「…唇と…

 耳と…首すじと…

 胸と…腰と…脚と……」


「全身、だろ?」


少し笑ってしまったけど、
どうやら嘘じゃないみたいだ。



この前みたいに、体が熱を帯びて…少しずつ汗ばんで…


ほら…"此処"だって…こんなに…






ひとしきりお互いを貪りあってひとつに溶け合ったあと、
栞は俺の腕の中で訊ねてきた。


「ねぇ…光基…?

 光基は浮気…ってした事ある?」



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