繋がれた天使〜Siori and Mitsuki〜


「…ところで先生。

 もう結婚はしたの?

 まさか、まだ独身とか…?」



そ…そうきたか…。



「はい…そのまさかです…。」



「そうなんだあ。

 で、彼女とかはいないの?」


「……彼女みたいな人なら…。」


まだハッキリ《彼女》と
言えないところが辛い…。


「もう!しょうがないなぁ。

 相変わらず手のかかる
 教師だねぇ。

 いい加減、身固めなさいよぉ。

 真奈も奈央も他のみんなも

 先生の幸せ報告待ってんだよ」



生意気な口をきくようになったもんだと、苦笑しながら聞いていた。



「もう!情けない顔しないでよ。

 あたしね…ちょっと先生に
 憧れてたんだよ。

 マサト君なんてさ、

 木下先生みたいな教師になるん
 だ!って

 今、受験勉強頑張ってるし。

 だから…先生も頑張ってよ!」



利穂を励ましに行ったつもりが、
逆に俺が励まされてしまった…。


情けねえ…。



でも…なんか俺…

教師やっててよかった…。


< 83 / 163 >

この作品をシェア

pagetop