虹が見たい理由
昼休み、屋上で聞いてみた。
「親の七光りね。」
意外な言葉に、私は亜利哀を見る。
「亜利哀のお父様、馬鹿でかい企業のシャチョーさんだから。」
小馬鹿にしたように茨は笑う。
でも、その態度に亜利哀は何も言わなかった。
「すごいね…。」
「どこが?」
すかさず言われた質問に私は戸惑った。
何がすごいんだろう?
「別に良いことなんてないの。
あたしが求めるのは、こうやって友達がいて、“普通”に過ごすこと。」