ダチュラな私。

待ち合わせ



駅前のロータリーは夏休みだからか、平日だというのに人で溢れていた。

特に駅の出入口付近はかなりの人口密度だ。

本当は駅の中にあるコンビニで涼みたかったけれど、今はあそこに近付きたくもない。

私は駅の中に入ることを諦めて、ロータリーにポツリと植えられている木の下に置かれたベンチに座った。


太陽の下にいるよりは幾分か涼しいような気がしたけれど、それでもまだまだ暑い。

陽炎が揺れるアスファルトにうんざりしながらロータリーの真ん中にある大きな温度計を見ると、現在の気温は三四度だった。

まだ一一時にもなっていないという事実が、私をさらに追い詰める。

昼過ぎになったときの気温を想像すると、今すぐ家に帰りたくなった。


だけど、約束をしたのは私だ。

約束を破る訳にはいかない。

私は汗ばむ額をハンカチで拭きながら、彼が到着するまでひたすら耐えることにした。
< 185 / 342 >

この作品をシェア

pagetop