ダチュラな私。

二人とも女の子の趣味が良いな、と思いつつ首を縦にふる。

「じゃあそろそろ帰るね!またね!」

「また連絡するわ」

すると爽吾君はニコッと笑い、聖羅は少し不安そうに目を細めた。


本当に聖羅は心配性だ。

その心遣いの形は母親の心遣いに近いものだと、いつも思う。


「送ってくれてありがとう。またね」

私には何人の父親と母親がいるのだろうと考えながら、聖羅を安心させるように笑顔を作った。

聖羅はそれでもまだ、心配そうな表情をしてなにか言いたげだったけれど。


「聖羅、早く帰るぞ。花ちゃんも早く家の中に入ってね?本当に風邪引いちゃうから」

最終的には爽吾君に手を引かれながら、駅へと向かって歩いていく。

私も爽吾君の言う通り、二人の背中が遠くなる前に家の中へと入った。
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