ダチュラな私。

びくっと体が揺れた。

一成はそんな私を見て複雑な表情を浮かべたけれど、すぐにいつもの表情へと戻る。

そして大丈夫だ、とでも言うように真っ直ぐな視線を私に向けながら、手元も見ずに器用にシャツのボタンを留めていってくれた。


男の子にシャツのボタンを留めてもらう日がくるなんて、想像もしていなかった。

視線を縛ってくれている一成のおかげで、そんな自分の姿を見なくてすんでいるけれど。

もし、そんな自分の姿を見ていたら、私の心臓は壊れてしまうだろう。


「花、立てるか?」

一成は安心したように息を吐くと、シャツから手を離してそう尋ねてくる。

シャツに視線を向けるとボタンはきちんと留められていて、素肌は隠されていた。


「うん。大丈夫」

こんな雨の中、いつまでもこんなところに座り込んでいるわけにはいかない。

だけどそう返事をして足に力を入ようとしても、なかなか立ち上がれなかった。
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