ダチュラな私。

舌打ちをしたのは虎の少し前に立っていた一成で、タンクトップしか着ていない背中から怒っていることが伝わってきた。

そして一成は迷うことなく男へと、一歩ずつ近付いていく。

男を殴っていた一成の姿が脳裏に浮かぶ。

さっきみたいに虎に止めてもらいたいけれど、虎のTシャツから手を離せなくて。

どうしようかと考えているうちに、私の位置から一成の姿が見えなくなったとき。


「お前……いい加減にしろよ?
あいつは物じゃねえんだよ!」

一成の怒鳴り声が聞こえた。

だけど、嫌な音は聞こえてこない。

そのことに安心して、Tシャツを握っていた力を少し緩めると。


「僕は……僕は花ちゃんを愛してるんだ!
それを理解しない花ちゃんが悪いんだ!」

意味不明で理解不能な汚い叫び声が私たちの鼓膜を汚した。
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