ダチュラな私。

告白



数日ぶりに我が家を見ると、思っていたよりずっと安心した。

今まではあまり感じなかったけれど。

やっぱりここが、私が生まれ育った場所なんだと強く感じた。


「虎、ありがとう」

虎と向かい合って、持ってもらっていたカバンを受け取る。

本当はこんな短い言葉ではなく、もっと気のきいたことを言えればいいんだけど。

考えれば考えるほど言葉はシンプルになっていき、結局、いつも同じことしか言えない。


「気にせんでええよ」

自分の語彙の少なさに落胆していると、柔らかな言葉が落ちてきた。

その言葉以上に柔らかく微笑む虎は私へと手を伸ばしてきて、風によってちらばっていた髪を耳にかけてくれる。

着飾っていない耳を見られるのはなんだか照れ臭くて、私は俯いてしまった。
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