【実話】アタシの値段~a period~



真っ白な部屋の真っ白なブラインドから差し込む


春の陽射し。



キラキラと舞う
あのダイヤモンドダストは


よく見ると


強烈な光にぶつかって、透明に反射する


繊維質な無数のホコリだった。






私は眉を寄せ、チリチリと舞うホコリを


ただ見つめていた。








慌ただしい足音で
長い、白衣を着た医者が病室に入ってきた。


母が呼びに行ったのだろう。



「聞こえますか!?」





……聞こえるよ



世にも憎いアンタの声が。


ねぇ先生。
先生の仕事って、人を救うことじゃないの?


ねぇ先生。
私にはあなたが


白衣を纏った悪魔に見える。





私を地獄へと引きずり戻す、悪魔に見える。




どうして人は
死と悲しみを結び付けるのかな。




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