【実話】アタシの値段~a period~


シャワーを浴びる。


さっき寝たオヤジの匂いが身体にまとわり付いて


肌が赤くなるまで何度も身体をこすった。



…大切なものがナイ。


失うものもナイ。


それが良いことだとか、悪いことだとか、そんなことは差し引いて、


アタシにはそれが唯一の、自分を守る手段だった。


幸か不幸か
女に生まれたアタシに

飢え死になんてやってこない。


シャワーのお湯が
床にはじける音を聞きながら


ぼんやりとさえ見えない未来に、吐きそうになった。



< 35 / 480 >

この作品をシェア

pagetop