【実話】アタシの値段~a period~
『おかえり』
「ただいま」
あたりまえのようにキスをして
頭をポンポンと撫でられる。
これじゃまるで
新婚さんごっこだな
なんて、思いながら
"ごっこ"じゃなくなる日を
ネクタイを緩めて歩く隆志の後ろ姿に
アタシはそっと内緒で願いを込めた。
「何コレ!?お前がつくったの!?」
驚く隆志の視線の先にはカルボナーラ。
『何コレ…って失礼な。』
言葉の綾だよ、と笑ってテーブルについた隆志は
「もう食べてもいい?」
そわそわと、スーツを着ただけの子供のように
はしゃいでいた。