覚めない微熱だけ、もてあましながら
10、自己中心的な女~麻里の場合~〈①秘密の社内恋愛〉


〈10、自己中心的な女~麻里の場合~〈①秘密の社内恋愛〉〉



「ねぇねぇ、大ニュース大ニュース!」

「なぁに~?」

「営業部の中村君と総務部の安田さん。付き合ってるみたいよ」

「えぇ~! 嘘~!」

「本当だってば!」

「マジ~? 信じらんなぁ~い。中村君と安田さんが付き合ってるなんてぇ!」

「しぃ~! 声が大きい!」

「あ、ごめん! びっくりしたのと興奮で、つい……」



午前11時の、10分間の小休暇。

麻里の会社の給湯室での会話は、他人の噂話が大好物の中継OL二人組だ。

「でもさでもさぁ~、社内恋愛って微妙だよね~!」

「だってもし別れたとしても、同じ会社だから顔合わせることになるんだよ~! たとえ部署が違っても社食とかで会うかも知れないしぃ~。超気まずいじゃぁ~ん!」

「だよね~! そう考えると社内恋愛も考えもんだな~」

畳二枚分くらいの狭い場所で、二人のOLは声を張り上げて喋っていた。

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