覚めない微熱だけ、もてあましながら
6、気になるアイツ
〈6、気になるアイツ〉
なんとなく朝が来たのはわかる。周りは明るいけど、まぶたが重たくて仕方がない。眠いのか眠くないのかわからなくて頭がボーッとする。
枕元に置いてある携帯を手探りし、時間を見ると午前七時だった。
一瞬、心臓がドキッとした。七時……ヤバイ遅刻だ!
無意識のうちにそう思ったけど……
“……ん?”
意識が曖昧ながらもすぐに察知した。
“あ、今日休みだ……”
安心して目を閉じるが眠れるはずもなく、薄く目を開けた。意識の中では物凄く長い間天井を見ていた気がしたが、実際携帯の時計を見るとほんの数分しか時間が経っていなかったことに気づく。
ベッドから出て窓を開けると、冬のはじめの空気が入り込む。朝の新鮮な空気は冷たくて、あまりの寒さに驚きすぐに窓を閉めた。
寒いので素早く着替え熱いジャスミン茶を煎れる。カップに鼻を近づけると独特の香りが脳を刺激する。
“ん~……いい香り……”