計算できない恋愛

好きへの変位




「おはよう、福田」



うだるような暑さにうんざりしながら、ようやく辿り着いた涼しい教室。


乱暴に鞄を机の上に投げ捨てると、隣の席の高田が声を掛けてきた。


今日も銀縁の眼鏡がよく似合っている。



「おはよう、朝からテスト勉強してんの?気色悪」



高田の机に広げられた生物の便覧が目に入り、挨拶代わりにそんなことを言う私。



「生物は、生命の神秘だよ、福田!ほら、この遺伝子の・・・」



朝から生物マニアによる遺伝子ストーリーなんて聞きたくもない。


私は眼鏡の変態を華麗に無視して自動販売機に向かった。



.
< 19 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop