だから君に歌を
「つーかさ、ここ雪降らないし。しかもまだ産まれないし」

「いいだろ。別に。第一千夏だって実は夏産まれじゃねーし」

「そうだけど、千雪ねぇ…」

千夏があまり乗り気でない様子を見せると京平は「…だめか?」と声を落とした。

駄目とか、気に入らない、というのではなく、

「いかにも、ってのがね」

いかにも千夏の子供ですって感じの名前だというところが…。

「千の雪って、綺麗な響きだと思うんだけどなあ」

京平はがっかりしたように肩を落とした。

「いいよ、別に。したけりゃしなよ。千雪」

「でも、千夏は気に入らないんだろ?だったら…」

「京平が気に入ったんだったら構わない」

千夏がそう言うと「本当か!?」とぱあっと顔を輝かせた。
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