俺が大人になった冬
俺の唇から彼女の唇が離されると、俺は夢ではないことを確かめるように少し震える両手で彼女の頬を包み込んだ。

その手に彼女の手がゆっくりと重なる。

なんだかくすぐったいような、幸せな気持ちが体中に広がり、つい欲張りになってしまう。

「もっとしていい?」

俺の問い掛けに、彼女は小さく頷く。

彼女の頬を優しく撫で、今度は俺から彼女に口づけた。

唇をついばむような軽いキスを何度も繰り返す。唇が重なるたび、気持ちが高ぶっていき、段々と深く彼女を求める。

俺の服の裾をギュッと掴みながら、俺の舌を受け入れる彼女。

その、ちょっと恥ずかしいような、戸惑っているような感じがとてもかわいくて。
かわいくて……

もう……言わずにはいられない。

「好きだ」

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