俺が大人になった冬



午前7時15分。ケータイのアラームが鳴ると共に目が覚めた。

結局俺は櫻井を何度も抱き、疲れてそのまま櫻井のベッドで寝てしまった。

隣で俺に抱きついて櫻井が気持ちよさそうに寝ている。

自分の寂しさを紛らわすためだけに女を抱く。もう二度とこんなふうに女を扱うことはしてはいけないと思っていたはずだった。

体を重ねていたときの満足感が、一気に虚しさへと変わったが、不思議と最後にエリナを抱いたときのような罪悪感や、彼女に対しての後ろめたさはあまりなかった。

櫻井の腕をはずし、体を起こす。大きな溜め息が漏れる。

腕を動かされて目を覚ましたのか、櫻井は布団の中でモゾモゾと動いた。

しかし何度も体を求められよほど疲れたのだろう。そのまま再び眠りに落ちたようだった。
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